2008年4月30日水曜日

飛火野の藤

その存在は花が咲いて初めて知るところとなる。

・・・と毎年、藤の花が咲いたら思うのです。


    


昨日まで何の変哲もなかった雑木林を歩いていて
野生の藤の花がいきなり目に飛び込んできた時
「あ、もう5月だ!初夏だ!」って感じる瞬間。

そういう季節の始まりをキャッチする瞬間、
それは金木犀の薫りを初めて感じる
秋が始まる日
と同じような感動・・・。

藤の花といえば
奈良では春日大社本殿横の「砂ずりの藤」や、
同じく春日大社神苑の珍しい品種の藤が有名ですが、

春日山原生林(世界遺産)の麓、飛火野の奥には

巨木に蔓を伸ばし、その蔓が絡みに絡み合った
野趣あふれる野生の藤が生息しています。


          

まだ満開には早くてちょっと物足らないのですが、
今日はそちらをご紹介しますね。

まず春日大社参道から飛火野に入り、南へと進みます。

最初の小川を軽々と超え、

二つ目の小川を超えたところ 

こんなぽっかりとした空間が広がります。

東の方を見ると御蓋山が・・・



西の方はこんな感じ。






ここは、私が奈良倶楽部を始めて少し慣れてきた頃、
一生続ける趣味として油彩画を習い始めた時の師匠
故間瀬謹平先生に教えていただいた、先生曰く「秘密の藤園」

この日もスケッチをしている人達が。
(偶然、同じ間瀬先生門下の方でした。懐かしかった~!)



飛火野の喧騒が嘘のように、ここだけぽっかりと静寂空間。

ここからまだ奥へ進むと、もうひとつのぽっかり空間が。



大文字の送り火の高円山が見えます。


      

この二つ目のぽっかり空間から奥へは抜けられないので、
(後日追記:実は奥へ抜けることができるそうです。)
もう一度最初のぽっかり空間へ戻って、
更に東の方へ、鹿苑の裏側に抜ける小道を通って、


     
           

イチイガシなど巨木を見ながら、

また参道へ戻ります。
ここへ出ます。→

+++明日からまた忙しくて、
ちょうど藤の一番見頃の時に出かけられないので
少々フライング気味にレポしましたが、

もう野生の藤が満開というか全開の時はこんなもんではありませんからね!
一面、まっ紫!たわわに房を垂らして本当に見事ですよ。

今日でこんな様子でしたからGWの最中が一番見頃ではないでしょうか。

GW中にお出かけの皆さま、どうぞ楽しんできてくださいね♪

>>おまけの画像

昨年撮ったものですが、
樹齢800年の名木「砂ずりの藤」と

「神苑」の珍しい藤の花たち。








きっとこちらのブログで一番見頃の藤の花が近日中にアップされることと思います^^


小さなホテル奈良倶楽部

2008年4月29日火曜日

背中の美

昨晩のNHKスペシャル
「日光・月光菩薩 はじめての二人旅~薬師寺1300年の祈り~」

仕事が中々終わらなくて最後の10分しか見られなかったけれど、
テレビを通して見た、日光・月光両菩薩像の光背をとった背中の美!

あまりの美しさ艶かしさに、きゅ~んと胸が高鳴った・・・。

私は無智なことに、今回の東博での展覧会が、
「はじめての二人旅」というコピーが物語るようなミーハー的な捉え方に
引き気味だったんだけど、
そんなレベルの話ではないことが、たった10分番組を見ただけだがよくわかった・・。

背中の光背をはずし、博物館で360度鑑賞可能となった姿は
祈りの対象ではなく美術鑑賞ではないのかしら。。。

そういうのってどうなんだろう・・・と思っていたのだけど
テレビで、両菩薩像の背中を見て、

あまりの美しさ!人間らしい艶かしさ!
優しく撫でてしまいたい肩のまるみや
きゅっと括れた腰、美しくのびやかな腕、
引き締まった背中の美しさは想像以上!

こんな素晴らしいものを1300年も前につくられたんだ。

こんな美しいものを目の当たりにしたら
きっと思わず祈らずにはいられないと思う。

何か自分の心に迫ってくるもの、響いてくるものがある。
そういうようなきゅ~んを感じてしまった・・・。

テレビ画面からでもそうなんだから
博物館で見たらもっとすごいだろうなあ。。。
(実際、テレビでは博物館の中で両菩薩像に手を合わせ祈りを捧げる
多くの人々の姿が映し出されていた)

東京国立博物館での展示は6/8までだけど、
ちょっとそれまで東京に行く予定はないし。

とりあえず、全部見られなかった番組の再放送が
NHK総合で4/30の深夜(5/1の午前)0:55~1:45にされるので
こちらでもう一度美しい姿を拝見したいと思います。

テレビの中で、

両菩薩を運び出す直前に、薬師寺の僧侶たちが、
菩薩像をいとおしみ、慈しみ、丁寧に拭いている様子が映されていました。
その僧侶たちの表情を見ただけでも思わず感激してしまいました。

1300年という時空を超えて、
たくさんの人々に護られ愛され脈々と引き継がれてきた大切なもの。

たくさんの人々の想いが結実となって、また次代へと受け継がれていく。

背面の美しさを見ることはできないかもしれませんが、
展覧会を終えてまた薬師寺に戻ってこられたら
もう一度、伽藍の中でゆっくりと対面してみたいと思います。

写真はテレビから写したもの。
あまりの美しさに感動して撮ってしまった・・^^

















小さなホテル奈良倶楽部












 

2008年4月27日日曜日

きたまち@探検隊~うだつのある通り~

昨日の日記に登場の転害門(てがいもん)から、
奈良倶楽部近くのバス停「今在家」までの通り。

私は勝手に「うだつ通り」と呼んでおります。

だって、ほら☆






















「うだつ」とは・・・

屋根の両端を一段高くして隣家との
火災の類焼を防ぐために造られた防火壁のこと。

京都から奈良に通じるこの通り、
かつては街道沿いに旅籠や商店が立ち並び
活気溢れる通りだったのですが・・・、

今では往時の賑わいもなくひっそり静かな通り。

意匠を凝らした「うだつ」を眺め
かつての賑わいをちょっと想像しながら
町並みを歩いて帰りました。

そういえば、奈良倶楽部のお隣さんにも
りっぱなうだつが上がっていたのでした。



小さなホテル奈良倶楽部

2008年4月26日土曜日

奈良八重桜と転害門

奈良八重桜(ナラノヤエザクラ)・・・



「奈良に咲く八重桜」という意味ではなく、こういう名前の品種なんです。
(わが母校の中学校の校章もたしか・・・このヤエザクラだったような)
奈良の県花に指定されているこの桜は
ほとんどの桜が終わりかけたこの時期にようやく咲き始めるのです。


昨日の「奈良 智林堂書店」さんのブログを拝見して、
(智林堂さんは餅飯殿商店街にある古本屋さんです。
ブログには地元ならではの観光情報も載せられていて
いつも参考にさせていただいてます。)

そうそう奈良八重桜は今が見頃!と、
転害門裏側の鼓阪(つざか)小学校の前まで行ってきました。

本当に!



まだ蕾の咲きかけの花もあります。

八重にしてはボリューム控えめ、うっすらとした桜色がとても上品な桜です。

校門前には10本ちかい奈良八重桜がありますよ。

先日の日記でも紹介しました黄色い桜「御衣黄(ぎょいこう)」は
こんな感じ。 

ぼたんの八重桜も満開です。 


そして、一昨日の日記に登場しました転害門(てがいもん)。




国宝のこの門は通り抜けが禁じられているため、
かえって鳩や野良猫ちゃんたちの住処になっていて、
以前から、梁の上でフンをする鳩に悩まされていたのです。

東大寺関係者の方が月2回ほど掃除しても梁の上までは届かず
一部腐食している梁もあるそうで・・・。
まずは国宝を護ろうと、鳩除けネットを屋根裏に設置されたとか。
(今日の朝日新聞朝刊奈良版から)

今回のネットはあまり目立たないそうで・・・

実際に見てみると本当にわかりませんでした。






転害門・・・

二度の東大寺炎上にも奇跡的に焼けずに
天平時代のままの姿を残している数少ない遺構なのに、

今はひっそりと忘れ去られたような存在になってしまって。。。

平城京に朱雀門なんてレプリカ造るより、
天平時代のこの立派な遺構をもっと誇り高くアピールすればいいのに!
と思ってます。(関係者の皆さま、これは私の個人的見解ですから)

転害門について少し詳しく記してみます。

東大寺の西限の門(3つある)のひとつが
一条通りの東の突き当たりにある転害門で、

かつて、大仏造営の頃、大仏守護の神様が
宇佐神宮からこの門を通って手向山八幡宮へ向かわれたとか。

また八脚門という格式の高い門で、
日本で現存するのは法隆寺と転害門だけです。

転害門には長さ15m以上の注連縄がかかっていますが、
5年に一度、奈良倶楽部の近所の町内の農家組合でかけかえをしています。

その付け替え作業のおじさん達と転害門談義してたんですが、
昔は門の真ん中通りぬけできたそうで、門の中が遊び場だったそうです。

国宝として護られなければならないものもあるので、
通り抜け禁止は致し方ないとしても、

例えば、月に一度は通り抜けデーみたいな日があって、
賑やかに市が立ったら面白いのになあと思います。

こんな立派な門なのに勿体無いですよね。

それに、もうひとつ。

一条通りの東の真正面に、威風堂々と立ちはだかるその姿。
威厳に満ち本当にりっぱな門なんですが、
遠景で見た時に電柱がすご~く邪魔なんです。

一条通りの電柱、早く撤去してもらえないものでしょうかね。。。



        

写真は転害門の注連縄付け替え作業の様子です。
一日かかりでわらを編んで大きな注連縄を結い、
大勢の人達で運んで行きます。
(2005年9月23日撮影)

小さなホテル奈良倶楽部

2008年4月24日木曜日

一幅の絵








転害門。
国宝で額装された風景。
贅沢な絵☆




切り取られた風景☆
さて、ここはどこでしょう?















正倉院北側の塀の一部分でした。
(撮影は一昨日)

写真、接写で撮るのって面白いですね。
もっと上手く撮りたいなあと思うこの頃ですが・・・。

そして一眼レフのデジカメが欲しいと思うこの頃です^^

小さなホテル奈良倶楽部